Z32はATで優雅に乗るのも良いです
電子制御なので結構細かく色々ありますよ、というページです。



機構・構造について

トルクコンバーター式のジャトコ製電子制御式4速オートマチックトランスミッションです。
4速にだけロックアップ(クラッチによる直結)制御があり、
速度とアクセル開度のバランスで繋がったり切れたりします。
容量不足か加速のためかアクセルを多く踏むと切れるので、
疑似的に5速あるように感じられるかもしれません
アクセル全開にするとキックダウン(ギアが下がる)されます
エンジン全開で変速するのでミッションに負担がかかりますが猛烈に加速します。

NAとTTで型式が異なりますが当然TTが強化版となっています。

NA用のRE4R01Aは同世代の多くの車種に搭載されていますが、
型式が一緒でも細かい仕様は異なることが多いようです。

TT用のRE4R03Aは同世代のATの中では最強の容量で、
セドリック、グロリア、シーマ(Y33)、プレジデント/Q45(G50)、Z(Z32)などに搭載されています。

同世代のハイパワーモデルであるところのRB系(スカイライン、ステージア)等はこれではなく
RE4R01Bというモデルとなっています。



レバーの操作について

at position

昔ながらの縦一列のごく普通のシフトレバーです
(この記事を書いてる時点でもう随分懐かしくなっていますが)
PRND21の意味合いは今更かもしれませんが
取説が車についてこない場合もあると思うので念のため
また、ハイブリッド世代の方は見慣れない操作形態だと思いますので。

シフトロックについて…
同時代は一般的ですがレバーが機械的にミッションと繋がっています。
なので、勢いよく操作したら思っても無いところにいきなり入る
という危険性があります。
これを避けるためシフトロックという機能が着いてます。
いきなり入ったら危ない部分にはボタン(大きい方)を押さないと入らない、
特にPからRはブレーキも踏まないと入らないようになっています

・ボタンの操作が必要な部分
P→R…ボタン+フットブレーキ
2→1…ボタン
N→R…ボタン
R→P…ボタン

実は上りと下りで違います。
取説には
常にボタンを押して操作すると思わぬギヤに入るから不要な部分で押すな
と記載があります。

#個人的にはD→Nもボタンありにして欲しかったです…。
#2から戻すときに通り過ぎてしまうことがあるので


・各ポジションについて
P…パーキング。Nと違いギアでロックがかかります。
駐車の際は安全のためサイドブレーキを併用のこと。
衝突された際等はギヤが壊れて動き出すことがあるんだとか
二次災害防止ですね

R…リバース。バックしたいときに使います。
ギヤが入っている間は「ピー、ピー」と音が鳴ります。
余談ですがATからMTに換装した車は処理によっては音が鳴ることも。

N…ニュートラル。
エンジンとタイヤ間の動力が切れるポジションです。
「渋滞などで停止時間が長びきそうなとき」は
フットブレーキ、パーキングブレーキ併用する旨取扱説明書に記載があります。
Dレンジであまりに長時間止めると負担がかかるので、
ということでしょうね。
信号待ちでいちいち入れるような必要は無いと思いますが
(これは逆にミッションに良くないと聞いたことがあります)
頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。


また、基本的には牽引非推奨ですが、
やむを得ず牽引する際はNに入れましょう。
故障等シフトロックが解除できない場合は
レバーの前に着いている小さなシフトロック解除ノブ
押し込むことで機械的にシフトロックが解除できます
(緊急用なので使い終わったら戻しておきましょう)
at shiftlock

D…ドライブ 通常走行用ポジションです。
4速を自動変速します。

2・1…セカンド・ファースト
エンジンブレーキを使いたいときのポジションです。
2は2速と1速のみを使用
1は1速のみ(速度が速すぎるときは2速を経由)
2速は100キロ以下
1速は55キロ以下
で使用するように取説に記載があります。
1速はかなりエンジンブレーキが強いので使う機会はあまりないかと思います
ふいに入れる後輪が滑る可能性もあるので気をつけてください。


オーバードライブスイッチの操作について

at overdrive sw

レバーに着いた小さなボタンがオーバードライブスイッチです。
オフにするとメーター内に「O/D OFF」というランプが着きます。
これが何かというと「4速に入らなくなるスイッチ」です。
要は4速で走っている時に3速になるということですね。
高速で前走車の速度が落ちてエンジンブレーキを使いたいときは
このボタンを押して3速に落としましょう。
使い終わったらもう一度押すと元通り4速を使う制御に戻ります。
なんとなく「3」ポジションがあればそれでいい気もしますが
3速オートマからの進化の過程でこうなったかなと思います。
(4速がおまけ扱い


A/Tモードスイッチの操作について

at mode sw

レバーの横に別で着いているのがA/Tモードスイッチです。
名前の通りオートマチックトランスミッションの制御を変えることができます。

・AUTO(中立)…4速ギヤを自動変速、これが基本モードです。
電子制御なので様々な条件で変速のタイミングが変わります。
レバーに着いてる小さな方のスイッチは4速(オーバードライブ=OD)のON/OFFが出来ます。
高速でエンジンブレーキ使いたいときとかはこれでOD OFFすれば使うギヤが1速-3速になります。
シフト位置が2の時は2速と1速を自動変速、1の時は1速固定です。

・POWER…変速が高回転寄りになるモード。パワフルに走りたい時用ですね。
メーターに「POWER」と表示されます。
隠し機能ではないですが中立で素早くアクセルを踏むと
アクセル踏んでる間だけスイッチ入れなくてもPOWERになります。 この機能は踏む速さなので全開にしなくても大丈夫で、
キックダウンするほどではないがギアを落として加速したい時に便利です。
シフト位置が2の時は2速と1速を自動変速、1の時は1速固定です。

・HOLD…選んだギヤで走るモード。このモードはキックダウンしません。
シフト位置がDの時は2速発進して速度が乗ったら
3速(ODスイッチOFFのとき)・4速(ODスイッチONのとき)まで変速して固定 、速度が限界まで下がると3→2に変速。
シフト位置が2の時は2速固定、1の時は1速固定になります。

自己診断について

電子制御のATなのである程度の自己診断ができます。
とはいえ現代のそれとは違って覚えていられる故障に限界があったりします

・キーONにしたとき
キーONにした時も実は簡易な故障診断が出来ます。
正常時:POWERランプが2秒光って消える
異常時:8秒間点滅を繰り返す
ただしこの機能は直前の走行時の異常しか記憶できません。

・自己診断
自己診断はいくつかの決まった動作を行うことで
ECUに記録されたエラーコードを読み出します。
この記録は通常のキーOFFでは消えません。
ただし、自己診断を実施してからキーOFFにすると記録が消去されるので、
もし自己診断を実施する場合は必ず結果を記録してください。
つまりこの自己診断で確認できるのは前回の自己診断以降の異常個所ということになります。

Step1:完全暖気する。
Step2:OD ON、A/Tモード中立にする。
Step3:レバーをD、OD OFFにする。
Step4:キーONにする。(エンジンは始動しない)
Step5:レバーを2、OD ONにする。
Step6:レバーを1、OD OFFにする。
Step7:アクセルを全開にする。

結果はPOWERランプの点滅で表示されます。
2秒点灯した後、10回短く(0.1秒)点灯します。
10回の点灯は以下の診断箇所と対応しており、もし故障が検知されていたら
その部分だけ少し長めに(0.6秒)点灯します。
例えば診断箇所03:スロットルポジションセンサーに故障履歴があれば
2秒点灯→0.1秒→0.1秒→0.6秒→0.1秒…となります。
キーOFFにするまで繰り返されますので故障個所を確認してください。
キーOFFにすると記録が消去されます

診断箇所01:AT側車速センサー
診断箇所02:メーター車速センサー
診断箇所03:スロットポジションセンサー
診断箇所04:シフトソレノイドA
診断箇所05:シフトソレノイドB
診断箇所06:タイミングソレノイド
診断箇所07:ロックアップソレノイド
診断箇所08:油温センサまたはコントロールユニット電源
診断箇所09:エンジン回転信号
診断箇所10:ライン圧ソレノイドまたはドロッピングレジスタ

故障個所が確認出来たらキーOFFにして終了です。

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