マイナーチェンジのページを作成した時に統合しようかと思ったのですが
エアコンの仕様はマイナーチェンジとグレードで入り組んでややこしいのでやめたという経緯があります。
Z32は登場当初1グレードで展開されましたのである時期までグレード差というものが存在しません。
北米に関してはGL、GLL、Electronic Packageで選択可能だったようなのですが、
詳細が追い切れていないのでこの記事では日本国内仕様について記載しようと思います。
複雑なので補足…
Z32の場合、基本的にはエアコンはグレードで強制されます。
何故かVer.Sレカロだけ例外でオートエアコンが選択可能だったようですが。。
300ZXであればオート、それ以外はマニュアルです。
オープンカーでオートは無理があるということか、コンバーチブルは全車マニュアルエアコンです。
細かい部分では4型のコンバーチブルは一応300ZXとVer.Sがありますが、両方ともマニュアルエアコンです。
パネルとガスの切り替え時期はリンクしてないため、吹き出し口風量選択可能でも年式によってはR12です。
1型と2型の日立製のオートエアコンなのですが、少し珍しい機構が採用されており、
コンプレッサーが凍結防止のためにON/OFFしません。
なのでこの時代の車にありがちな「カチ」という音とともに、
エアコンコンプレッサーのマグネットクラッチが自動的にONになったりOFFになったり、
ということはありません。
AUTOボタンを押したらコンプレッサーのクラッチが繋がってOFFにするまで
あるいはECONを選んだ場合以外
ずっとマグネットクラッチが繋がったままになります。
※外気センサーが0度以下の場合は強制OFF
ちょっとマニアックな方なら「あ、可変容量式コンプレッサーですね」
とか思うかもしれませんが違います。
同時代の多くのエアコンはエバポレーターが凍結しないようにセンサーが着いており、
凍結しそうな温度になるとコンプレッサーのマグネットクラッチが切れます。
ある程度エバポレーターの温度が上がるとマグネットクラッチを再び繋いで温度を下げます。
基本的にはこの繰り返しでエバポレーターを凍らない程度に冷たい温度を維持して
そこに空気を通すことで空気を冷やしています。
R32スカイラインで有名なゼクセル製の可変容量コンプレッサーの場合は、
マグネットクラッチを切らずにコンプレッサーの容量を調整することで凍結を防ぎます。
Z32に採用されている日立製のオートエアコンの場合は
サクションスロットルバルブ
と呼ばれるバルブでエアコン回路内の圧力に応じてバルブが動いてエバポレーターの凍結を防いでいます。
この機構は機械的な制御でコンプレッサーの凍結防止を実現しているので、
電気的な回路とか制御は要らない、という点に特徴があります。
なんだかとても良く出来たシステムのような感じがしますが…
生産から30年後も使えるように作っている訳が無く、機械的なものなので故障します。
当然部品は出ません。
・修理
バルブ自体は出ないのでバルブを外して、エバポレーター温度に応じてコンプレッサーをON/OFFする制御に改造が必要です。
海外のWikiでは「外したら凍結に気をつけろ」とこの部分が放り投げられていますが、
現実的には温度センサーの増設や制御回路の改造が必要です。
業者に任せる場合、動作原理や部品構成を理解できる整備工場や電装屋さん等を見つける必要がありハードルは高そうです。
・一時しのぎの方法
この方法は私がやってるだけなので試す場合は自己責任でどうぞ。
もし「普通に冷えるが時折吹き出す風が温くなってそのまま温い(冷えない)」とか
「急に風が出なくなることがある(冷えすぎて凍結)」とか
電子制御やエアコン自体の冷却サイクルに異常が無さそうなのに不安定に症状が出る場合
サクションスロットルバルブの不調が疑われます。
その場合は以下の操作で一時しのぎが出来ることがあります。
ECONボタンで一旦コンプレッサーのマグネットクラッチを切ります。
※もし凍結してしまっていたら氷の欠片とかが吹き出し口から出てくるかもしれません。
数分ECONで放っておいたらAUTOに戻してコンプレッサーのマグネットクラッチを繋ぎます。
正確に何が起きるかは良く分かっていませんが、
この操作でまた正常に動作し始める事が多いです
凍結を解凍+エアコン回路内の圧力を一旦リセットしてバルブの動作をリセット
という感じかな、と考えています。
オートエアコンは自己診断ができます。
吹き出し口の名前は以下のとおりです。
ベント…クラスターリッドやドアに着いてる吹き出し口
フット…足元の吹き出し口
デフ…窓の下に着いている吹き出し口
2型以降の画像は4型ZXにお乗りのじょーんさんにご提供いただきました。
改めてこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございます。
・自己診断の入り方と基本操作
自己診断モードに入るには、エンジンがかかった状態でAUTOとOFFを5秒以上長押しします。
自己診断は4つのモードがあり、AUTOを押す度にモードが変わります。
OFFを押すと自己診断モードを抜けます。
・自己診断…センサー数値表示モード
現在のセンサー数値を表示するモードです。
2型以降の場合はSETの温度の下に1つセグメントが点灯します
1型:HI スイッチ、2型以降:モードスイッチ…表の下方向へ移動
1型:LO スイッチ、2型以降:ファンスイッチ…表の上方向へ移動
読み方…
コード
どのセンサーのデータか
1型:SETの数字、2型以降:ファンと吹き出しの組み合わせ
データ
1型:AMBの数字、2型以降:SETの数字
・自己診断…アクチュエータテストモード
アクチュエータとコンプレッサーとファンを複数のパターンで強制作動させるモードです
1型の場合はSETに30と表示されます。
2型以降の場合はSETの温度の下に2つ並んでセグメントが点灯します
1型:HI スイッチ、2型以降:モードスイッチ…アクチュエータの動作を変更
1型:LO スイッチ、2型以降:ファンスイッチ…ファンの動作を変更
読み方…
アクチュエータ―の動作は1型の場合はAMBの10の位、2型以降は吹き出しと温度の表示
ファンの動作は1型の場合はAMBの1の位、2型以降の場合はファンの表示(1~4)
・アクチュエータ―とコンプレッサーの動作モード一覧
・ファンの動作モード一覧
・自己診断…目標温度変更モード
オートエアコンが調整する目標の温度を微調整するモードです。
この設定はバッテリーを外すと0に戻ります。
1型の場合はSETに40と表示されます。
2型以降の場合はSETの温度の下に3つセグメントが点灯します
1型:HI スイッチ、2型以降:モードスイッチ…目標温度をプラス方向へ変更
1型:LO スイッチ、2型以降:ファンスイッチ…目標温度をマイナス方向へ変更
表示の1は0.1度を示し、20=2度の幅で調整が可能です。
・目標温度の調整画面
・自己診断…センサー故障データ表示モード
センサーの故障履歴を表示するモードです。
2型以降の場合はSETの温度の下に間を開けて2つセグメントが点灯します
(2進数の5)
1型:HI スイッチ、2型以降:モードスイッチ…表の下方向へ移動
1型:LO スイッチ、2型以降:ファンスイッチ…表の上方向へ移動
読み方…
コード
どのセンサーのデータか
1型:SETの数字、2型以降:ファンと吹き出しの組み合わせ
データ
1型:AMBの数字、2型以降:SETの数字
正常時はデータに50と表示されます。
今も故障している場合は0と表示されます。
それ以外の数字の場合は最後に故障を検出した後のエンジン始動回数が表示されます
L字のセグメントで検出された故障が表示されます
縦向きのセグメント…センサー断線
横向きのセグメント…センサーショート