DB9のトランスミッションは同時期のBMW、ジャガーにも採用されているZFの6HP26です。
少し特殊なのはこれをトランスアクスルとして採用していることで、
普通のFR車は
エンジンミッション-プロペラシャフト-デフ
となっていますが、DB9では
エンジン-プロペラシャフト-ミッションデフ
となっています。
フロントミッドにマウントされたエンジンとの相乗効果で優れた前後重量バランス(50:50)を実現しています。
DB9がデビューした21世紀初頭のこの時期、高性能車向けのトランスミッションは変革期にありDCTが市販車向けに実用化されつつあり流行の兆しを見せていたと同時にトルコンATの多段・高速化も進んでおり、6HP26というミッションはそんな時代の6速ATです。
先頭の6が6速、後半の26は対応しているトルクを示しています。
(対応トルクで大きいもの、小さいものがあります。後継の8速は8HPです。
DB9のミッションとして6速トルコンATを選んだのはラグジュアリーさも大切にするアストンマーチンらしさ、ということになるのかもしれません。
同時代のAMTはシングルクラッチ系で少しスポーツ寄り過ぎるきらいがまだありましたので。
DB9登場後2000年代後半は一気にDCTの時代になり群雄割拠となるのですが、当時のDCTはやや粗かったかなと思うのでDB9としては正解だったのでは、と思います。
で、前置きが長いのですがこのZF製6HP26ですが、検索すると壊れる事例が多々見受けられます。
出来れば壊れて欲しくは無いので「出来ることから」ということでATF交換をお願いすることにしました。
二子玉川のデルオートさんへ
ZFのミッションについては長く取り扱っていらっしゃるようなので安心かなと思いお願いしました。
着いたらささっとリフトアップして頂いて、早速ATFをドレンから。
なんとなく知識としては知っていましたけどATFって本当にシャバシャバというか…水みたいな感じで凄い勢いで出てきてビックリしました。
ATF交換とは言いつつ、ただ抜いて入れるわけではなくフィルターも交換となります。
で、このフィルター、実はオイルパン(見えている黒い部分)と一体なのでこのオイルパンごと交換になります。
作業にあたって周辺部品もアレコレ外す必要があるようです。
少し時間がかかりますのでお邪魔しないように時間を潰しに出かけることにします。
ちょうど浅草、浅草寺でASTONMARTIN ARCADIAというイベントが行われており、見学へ。
浅草寺にクラシックから現代まで多くのアストンマーチン車が展示されるイベントでスペースの入り口にはDB12とDBX707が。
箱入り娘感あるDB9 Volante、我が家の武闘派(?)も綺麗にしてあげないとですね…汗
現行からクラシック、スペシャルモデル、凄い車も沢山だったのですが、やはりこの世代が落ち着くというか好きだなーなどと思いました。
(買えるか買えないかはさておき。
人混みが苦手なのですっかり疲れてしまったので昼食をはさみつつ二子玉川へ。
遅めのお昼ご飯にしていたら予定通り終わったと連絡いただきました。
こちらが今回の交換パーツ
オイルパン兼フィルターとコネクター。
コネクターはATの中外でハーネスが入る部分のパーツなのですが、オイルが漏れていたということでついで変えてもらいました。
(オイルパン外さないと作業できない部分ということでした。
フルードの状態も悪くなく、オイルパンの磁石にも異物は見られないということでAT自体の状態は悪くないようです。
このミッションの弱点も聞いてみたところ…以下のようなお話を頂きました。
・メタルブッシュ
内部でシャフトの保持に使われているメタルブッシュが摩耗してガタが出てしまう。ストップアンドゴーが多いと負荷がかかりがち。
・メカトロ(mechatronic unit)
各種センサー類が単品設定が無く異常が出てしまった場合ASSYで交換になる。
部品は60-70万円ほど、とのこと。
これは運なので乗り方でどうとかそういうことではない
メカトロはなんとも怖い話ですが、そもそもアストンマーチン車はあまり修理したケースは無いらしいので「発進・停止を丁寧に」だけは気をつけつつ壊れないことを祈って乗ろうと思います。
ありがちな内容になってしまいますがATF交換の効果はかなり体感できました。
変速が早く、ショックも少なくなったように感じられて一般道では何速に入ってるか分からない=変速タイミングが分からないことも増えました。
転がり感も若干スムーズになったような気がします。
紺Zでも感動しましたがやはり調子の良いATは良いですね。
費用は約20万円程度でした。
円安を受けて大分パーツ・オイル等が高くなっているようです。
ODO:57000km